Mac版Excelの動作が遅くて作業効率が落ちていませんか?多くのMacユーザーが経験するこの問題には、メモリ不足、アドインの競合、ファイルサイズの肥大化など様々な原因があります。
本記事では、Mac版Excelの動作を劇的に改善する8つの解決方法を詳しく解説します。また、関連する問題として「エクセル保存が遅い」問題についても触れていますので、併せてご確認ください。
目次
- Mac版Excelが遅くなる主な原因
- 【基本対策】システム設定の最適化
- 【Excel設定】アプリケーション内の調整方法
- 【ファイル管理】データ最適化テクニック
- 【メモリ管理】RAM使用量の改善方法
- 【アドイン管理】不要な機能拡張の無効化
- 【システムクリーンアップ】推奨ツール紹介
- 【上級者向け】パフォーマンス最適化設定
- まとめ
1. Mac版Excelが遅くなる主な原因
Mac版Excelの動作が遅くなる原因は複数あります。まず主要な原因を理解することで、適切な対処法を選択できます。
メモリ不足(RAM使用量過多)
Macのメモリ使用量が上限に近づくと、Excelの動作が著しく遅くなります。特に大容量ファイルを扱う際に顕著に現れます。
大容量ファイルの処理
数万行のデータや複雑な数式を含むファイルは、処理に時間がかかります。画像やグラフが多数含まれている場合も同様です。
不要なアドインの競合
サードパーティ製のアドインが多数インストールされていると、起動時間や動作速度に影響を与えます。
macOSとExcelのバージョン非互換
古いバージョンのExcelを新しいmacOSで使用している場合、最適化されていない処理により動作が遅くなることがあります。
一時ファイルの蓄積
Excelが作成する一時ファイルが蓄積されると、ディスク容量を圧迫し、動作速度に影響します。
複雑な数式や条件付き書式の多用
VLOOKUP、INDEX/MATCH、配列数式などの複雑な計算や、多数の条件付き書式は処理負荷を増大させます。
2. 【基本対策】システム設定の最適化
Macの再起動とメモリ解放
最も基本的で効果的な方法です。定期的な再起動により、メモリリークを解消し、システムリソースを最適化できます。
手順:
- 作業中のファイルを保存
- Appleメニュー → 「再起動」を選択
- 再起動後、必要最小限のアプリケーションのみ起動
不要なアプリケーションの終了
バックグラウンドで動作するアプリケーションを終了し、メモリを解放します。
手順:
- Command + Tabでアプリケーション切り替え画面を表示
- 不要なアプリケーションでCommand + Qで終了
- アクティビティモニターで隠れたプロセスも確認
ストレージ容量の確保
ディスク容量不足は仮想メモリの動作に影響し、全体的なパフォーマンス低下を招きます。
推奨容量:
- 最低15GB以上の空き容量を確保
- 理想的には総容量の20%以上を空けておく
macOSアップデートの確認
最新のmacOSには、Excelとの互換性改善やパフォーマンス向上が含まれています。
手順:
- Appleメニュー → 「このMacについて」
- 「ソフトウェアアップデート」をクリック
- 利用可能なアップデートをインストール
3. 【Excel設定】アプリケーション内の調整方法
自動計算の無効化
大量のデータを扱う際は、自動計算を無効にして手動計算に切り替えることで、動作速度を大幅に改善できます。
手順:
- Excelメニュー → 「環境設定」
- 「計算」タブを選択
- 「手動」を選択し、「OK」をクリック
グラフィック加速の調整
ハードウェアアクセラレーションが原因で動作が不安定になる場合があります。
手順:
- Excelメニュー → 「環境設定」
- 「詳細設定」タブを選択
- 「グラフィックハードウェアアクセラレーションを無効にする」にチェック
フォントキャッシュのクリア
破損したフォントキャッシュが動作速度に影響することがあります。
手順:
- Finderで「移動」→ 「フォルダへ移動」
- 「~/Library/Caches/com.microsoft.Excel」と入力
- フォルダ内のファイルを削除
表示設定の最適化
不要な表示要素を無効にして、描画処理を軽減します。
設定項目:
- 数式バーの非表示
- グリッド線の非表示
- ページブレークプレビューの無効化
- ズーム倍率の調整(100%推奨)
4. 【ファイル管理】データ最適化テクニック
ファイルサイズの圧縮
不要なデータや書式を削除してファイルサイズを削減します。
効果的な方法:
- 使用していないワークシートの削除
- 空白セルの書式クリア
- 不要な名前定義の削除
- 外部リンクの確認と削除
不要なワークシートの削除
使用していないワークシートは、ファイルサイズと処理負荷の原因となります。
手順:
- ワークシートタブを右クリック
- 「削除」を選択
- 確認ダイアログで「削除」をクリック
画像・オブジェクトの最適化
高解像度の画像や多数のオブジェクトは、ファイルサイズと処理速度に大きく影響します。
最適化方法:
- 画像の圧縮(「図の書式設定」→「圧縮」)
- 不要なオブジェクトの削除
- 画像形式の変更(PNG → JPEG)
数式の簡素化
複雑な数式を簡素化することで、計算処理を高速化できます。
改善例:
- VLOOKUP → INDEX/MATCH
- 配列数式の見直し
- 循環参照の解消
- 揮発性関数(NOW、TODAY等)の使用制限
5. 【メモリ管理】RAM使用量の改善方法
アクティビティモニターでの確認
現在のメモリ使用状況を正確に把握することが重要です。
確認手順:
- アプリケーション → ユーティリティ → アクティビティモニター
- 「メモリ」タブを選択
- 「メモリプレッシャー」の色を確認(緑:正常、黄:注意、赤:危険)
メモリプレッシャーの解消
メモリプレッシャーが高い場合の対処法:
即効性のある方法:
- 不要なアプリケーションの終了
- ブラウザのタブ数削減
- 大容量ファイルのクローズ
根本的な解決:
- 物理メモリの増設検討
- 仮想メモリ設定の最適化
仮想メモリの設定
macOSの仮想メモリ設定を最適化します。
確認方法:
- ターミナルを開く
- 「vm_stat」コマンドで仮想メモリ統計を確認
- スワップファイルの使用状況をチェック
6. 【アドイン管理】不要な機能拡張の無効化
アドインの一覧確認
インストールされているアドインを確認し、不要なものを特定します。
手順:
- Excelメニュー → 「環境設定」
- 「アドイン」を選択
- インストール済みアドインの一覧を確認
問題のあるアドインの特定
特定のアドインが原因で動作が遅くなっている場合があります。
診断方法:
- セーフモードでExcelを起動
- 通常モードと動作速度を比較
- アドインを一つずつ有効化して原因を特定
段階的な無効化手順
すべてのアドインを一度に無効化せず、段階的に行います。
推奨手順:
- サードパーティ製アドインから無効化
- Microsoft純正アドインの確認
- 必要最小限のアドインのみ有効化
7. 【システムクリーンアップ】推奨ツール紹介
Mac版Excelの動作改善には、専用のクリーンアップツールが効果的です。以下に信頼性の高いツールを紹介します。
CleanMyMac

公式サイト: https://cleanmymac.jp/
Macの総合的なクリーンアップツールとして高い評価を得ています。
主な機能:
- システムジャンクファイルの削除
- アプリケーションキャッシュのクリア
- メモリ解放機能
- 不要なアプリケーションの完全削除
Onyx

公式サイト: https://www.titanium-software.fr/en/onyx.html
無料で利用できるMacメンテナンスツールです。
主な機能:
- システムキャッシュの削除
- データベースの再構築
- 権限の修復
- ログファイルの削除
DiskSight

公式サイト: https://www.imagetasks.com/disksight/
ディスク使用量の可視化と最適化に特化したツールです。
主な機能:
- ディスク使用量の詳細分析
- 大容量ファイルの特定
- 重複ファイルの検出
- 不要ファイルの安全な削除
Memory Diag

メモリ使用量の監視と最適化に特化したツールです。
主な機能:
- リアルタイムメモリ監視
- メモリリークの検出
- 自動メモリ解放
- プロセス別メモリ使用量表示
これらのツールを使用する際は、必ず重要なデータのバックアップを取ってから実行してください。
8. 【上級者向け】パフォーマンス最適化設定
ターミナルコマンドでの調整
ターミナルを使用してシステムレベルでの最適化を行います。
メモリ管理の最適化:
# メモリプレッシャーの確認
memory_pressure
# キャッシュのクリア
sudo purge
# DNSキャッシュのクリア
sudo dscacheutil -flushcache
詳細なシステム設定
システム環境設定での詳細な調整を行います。
エネルギーセーバー設定:
- 「プロセッサのパフォーマンス」を「高」に設定
- 「グラフィックの自動切り替え」を無効化(該当機種のみ)
セキュリティとプライバシー:
- ファイアウォールの最適化
- 不要なバックグラウンドアプリの制限
開発者向けオプション
Xcodeがインストールされている場合の追加最適化:
Instruments の活用:
- Xcodeを起動
- 「Open Developer Tool」→「Instruments」
- 「Activity Monitor」でExcelのパフォーマンスを詳細分析
まとめ
Mac版Excelの動作が遅い問題は、適切な対処法により大幅に改善できます。まずは基本的なシステム最適化から始め、必要に応じて専用ツールを活用することをお勧めします。
効果的な対処法の優先順位:
- システムの再起動とメモリ解放
- 不要なアプリケーションの終了
- Excelの自動計算設定の見直し
- ファイルサイズの最適化
- アドインの整理
- 専用クリーンアップツールの活用
- システムレベルでの最適化
定期的なメンテナンスを行うことで、Mac版Excelを常に最適な状態で使用できます。問題が解決しない場合は、ハードウェアのアップグレードも検討してください。