「せっかく上手く歌えたのに、録音を聞いたら音割れで台無し…」
「好きな曲を大音量で楽しみたいのに、スピーカーがビリビリ鳴ってしまう」
「ライブ配信中に視聴者から『音が割れてる』と指摘された…」
そんな「音割れ」の経験はありませんか?
音割れは、音楽制作、動画編集、普段の音楽鑑賞まで、多くの人が直面する厄介な問題です。しかし、ご安心ください。音割れは、その原因を正しく理解し、適切な対処を行えば、ほとんどのケースで解決・改善できます。
この記事では、音割れの基礎知識から、再生時・録音時・配信時といったシーン別の具体的な対処法、さらには音割れを未然に防ぐための予防策まで、誰でもすぐに実践できる情報を網羅的に解説します。
また、世の中には様々な音声修復ソフトがあります。無料でありながら高機能な Audacity 、動画編集もこなせる Filmora 、プロ御用達の iZotope RX など、あなたの状況や目的に合わせて、これらのツールをどのように活用すれば音割れを修正できるのか、具体的な手順も交えて紹介していきます。
音割れに悩むすべての方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 音割れとは?クリッピング現象の正体
- なぜ音割れは起こるのか?主な原因を徹底解説
- 【シーン別】今すぐできる音割れの具体的な対処法
- 音割れしてしまった音声データを修復する方法
- 音割れを未然に防ぐための3つの鉄則
- まとめ:音割れとさよならして、クリアなサウンドを楽しもう
音割れとは?クリッピング現象の正体
音割れ対策を始める前に、まずは「音割れとは何か」を正しく理解しましょう。
音割れとは、音声信号が機器の処理できる許容範囲を超えてしまった結果、音が歪んでしまう現象のことです。専門用語では 「クリッピング(Clipping)」 と呼ばれます。
音は本来、なめらかな波形をしていますが、入力が大きすぎると波形の上下が平らに潰れてしまいます。この潰れた部分では、本来の音の情報が失われ、「ビリビリ」「バリバリ」といった不快なノイズとして私たちの耳に聞こえるのです。
DAW(音楽制作用ソフト)などで音声波形を見ると、音割れしている箇所は上下の端に張り付いたように平らになっています。これがクリッピングの視覚的な証拠です。
重要なのは、一度クリッピングして失われた音声情報は、完全には元に戻せない という点です。そのため、音割れは「修復」するよりも「予防」することが何よりも大切になります。
なぜ音割れは起こるのか?主な原因を徹底解説
音割れは様々な要因で発生します。自分の状況がどれに当てはまるか確認してみましょう。
1. 再生時の原因:音量の上げすぎや機器の限界
最も一般的な原因です。スマートフォンやPCのスピーカー、イヤホンなどの再生機器には、それぞれ出力できる音量の上限があります。その上限を超えてボリュームを上げると、スピーカーの振動板が正常に動けなくなり、音が割れてしまいます。
- 解決策:まずは再生音量を下げてみましょう。また、イコライザー機能で低音などを過度にブーストしている場合も、設定をフラットに戻すことで改善することがあります。
2. 録音時の原因:入力レベルの過大設定
歌や楽器の録音、ゲーム実況などで音割れする場合、ほとんどがこのケースです。マイクから入力される音声信号が、オーディオインターフェースやミキサーの許容範囲を超えてしまう(入力レベルが過大になる)ことでクリッピングが発生します。
- 解決策:録音を始める前に、一番大きな声を出す部分でテスト録音を行い、入力レベル(ゲイン)を調整することが不可欠です。多くの機器には、入力が大きすぎると赤く光る「PEAKランプ」が付いているので、これが点灯しないレベルに設定しましょう。
3. ファイル自体の問題:破損やエンコードエラー
音声ファイル自体が破損していたり、動画ファイルへのエンコード(変換)処理中にエラーが発生したりすると、再生時に音割れやノイズが発生することがあります。
- 解決策:可能であれば、元の音声ファイルを再生して問題がないか確認します。ファイルが破損している場合は、修復ソフトが必要になることもあります。
4. 機器の物理的な問題:劣化や接続不良
長年使用しているスピーカーやイヤホンは、内部の部品が経年劣化して音割れの原因になることがあります。また、ケーブルの断線や接続端子の接触不良、ホコリの詰まりなども見落としがちな原因です。
- 解決策:別のイヤホンやスピーカーで再生してみて、音割れが解消されるか試してみましょう。ケーブルを抜き差ししたり、端子部分を清掃したりするだけで改善することもあります。
【シーン別】今すぐできる音割れの具体的な対処法
ここからは、具体的なシーン別に、すぐに実践できる対処法を解説します。
1. PCやスマホで音楽を聴いている時の音割れ
- 音量を下げる:基本ですが、最も効果的です。8割程度の音量でも割れる場合は、他の原因を疑いましょう。
- イコライザーをオフにする:OSや音楽アプリのイコライザー設定で、特定の周波数(特に低音)を強調しすぎていないか確認し、フラットな設定に戻します。
- 別の再生機器を試す:イヤホンで聞いているならスピーカーで、PCで聞いているならスマホで再生するなど、再生環境を変えて問題の切り分けを行います。
- サウンド設定を確認する(PC):Windowsの場合、「サウンド設定」からスピーカーのプロパティを開き、「拡張」タブにある「すべてのサウンド効果をオフにする」にチェックを入れると改善することがあります。
2. 録音・歌ってみた制作での音割れ
録音時の音割れは、後から修正するのが非常に困難なため、予防が何よりも重要です。
- 入力レベル(ゲイン)を調整する:オーディオインターフェースのゲインつまみを調整します。一番声量が大きくなるサビの部分を歌いながら、PEAKランプが点灯しない、かつDAWのレベルメーターが-6dB〜-12dB程度に収まるように設定するのが理想です。
- マイクとの距離を保つ:マイクに近づきすぎると、息の吹き込み(吹かれ)や過大な入力で音割れしやすくなります。マイクから15cm〜30cmほど離れるのが一般的です。
- コンプレッサーやリミッターを活用する:これらは音量のばらつきを抑え、突発的な大声による音割れを防ぐのに役立つエフェクトです。DAWの機能やプラグインとして使用できます。
3. ライブ配信(OBSなど)での音割れ
配信中の音割れは視聴者の離脱に直結します。OBS Studioを例に解説します。
- 音声ミキサーを確認する:OBSの音声ミキサーで、マイクやデスクトップ音声のレベルメーターが赤色のゾーンに振り切っていないか常に確認しましょう。黄色ゾーンに収まるのが理想です。
- フィルタ機能「リミッター」を追加する:音声ソースの歯車アイコンから「フィルタ」を選択し、「リミッター」を追加します。しきい値を「-6dB」などに設定しておけば、それ以上の音量になると自動的に抑制され、音割れを強力に防げます。
- サンプルレートを合わせる:Windowsのサウンド設定、オーディオインターフェースのドライバー設定、OBSの音声設定(「設定」→「音声」)のサンプルレートがすべて同じ値(例: 48kHz)に統一されているか確認しましょう。設定が異なるとノイズや音割れの原因になります。
4. 動画編集で音声が割れてしまった場合
動画編集ソフト上でBGMや効果音の音量を上げすぎると、書き出した際に音割れが発生します。
- Filmoraでの対処法:
- タイムライン上のオーディオクリップを選択し、音量レベルを調整します。
- オーディオミキサー機能を使えば、各トラックの音量を視覚的に確認しながらバランスを調整できます。
- マスター(主音量)のレベルメーターが0dBを超えないように注意して書き出しましょう。
音割れしてしまった音声データを修復する方法
「予防が大事なのはわかったけど、もう音割れしてしまったデータはどうすれば…?」という方のために、修復を試みる方法をいくつか紹介します。ただし、完全な修復は難しい場合があることをご了承ください。
【無料】Audacityでクリッピングを修復する

公式サイト:https://www.audacityteam.org/
Audacityは、無料で使える高機能な音声編集ソフトです。音割れ修復機能も搭載されています。
- Audacityで音割れしたファイルを読み込みます。
- 波形が赤く表示されているクリッピング箇所を選択します。
- メニューバーから「エフェクト」→「Clip Fix…」を選択します。
- 設定はそのままで「OK」をクリックします。これにより、潰れた波形を再計算し、ある程度なめらかに復元してくれます。
【動画編集ソフト】Filmoraで音声の歪みを除去する

公式サイト:https://filmora.wondershare.jp/
Wondershare Filmoraは、直感的な操作が可能な動画編集ソフトですが、高度な音声編集機能も備えています。
- Filmoraに動画ファイルを取り込み、タイムラインに配置します。
- オーディオクリップをダブルクリックし、「オーディオ」タブを開きます。
- 「ノイズ除去」セクションにある「通常ノイズ」や「風ノイズ」などを試すことで、歪みが軽減される場合があります。
- また、「オーディオイコライザー」を使って、割れている原因となっている特定の周波数帯域(例えば高音域)を少し下げることで、耳障りな部分を和らげることができます。
【プロ向け】iZotope RXで高度な音声修復を行う

公式サイト:https://www.izotope.com/en/products/rx.html
iZotope RXは、プロの現場で広く使われている業界標準の音声修復ソフトです。価格は高価ですが、その性能は絶大です。
iZotope RXには 「De-clip」 という、まさにクリッピング修復のための専用モジュールが搭載されています。
- RX Audio Editorで音声ファイルを読み込みます。
- 右側のモジュールリストから「De-clip」を選択します。
- 「Suggest」ボタンを押すと、RXが音声を分析し、最適な修復のためのしきい値(Threshold)を自動で提案してくれます。
- 「Preview」で修復後の音を確認し、問題なければ「Render」ボタンで処理を適用します。
潰れてしまった波形をインテリジェントに再描画し、失われた倍音を復元することで、他のソフトでは不可能なレベルでの自然な修復が可能です。
音割れを未然に防ぐための3つの鉄則
- 録音時は必ず「ヘッドルーム」を確保する:ヘッドルームとは、音量の最大値(0dB)までの余裕のことです。録音時のピークが-6dB程度になるよう入力レベルを設定し、余裕を持たせることが最大の予防策です。
- レベルメーターを常に監視する癖をつける:録音時、配信時、編集時、あらゆる場面でレベルメーターが赤くなっていないか確認しましょう。
- 最終出力(書き出し)前にリミッターをかける:DAWや動画編集ソフトで最終的なファイルを書き出す際に、マスターチャンネルにリミッター(音量が一定以上にならないようにするエフェクト)を挿入しておくことで、意図しない音割れを防ぐ最後の砦となります。
まとめ:音割れとさよならして、クリアなサウンドを楽しもう
今回は、「音割れ」の原因からシーン別の対処法、そして修復方法までを詳しく解説しました。
音割れの多くは、音量の設定ミスが原因です。まずは、再生や録音のレベルが過大になっていないかを見直すことが、解決への第一歩です。そして、AudacityやFilmora、iZotope RXといったツールを使えば、発生してしまった音割れもある程度修復できる可能性があります。
この記事で紹介した知識とテクニックを活用して、ぜひ音割れの悩みから解放され、クリアで心地よいサウンド環境を手に入れてください。
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